水のような人になりたい 老子

こんにちは、ススムです。

1万冊を目指して読書しています。現在【5】冊目です。

 

「最上の善なるあり方は水のようなものだ」という老子を学んで、とっても生きやすくなった!というスピーチを最近TEDで見ました。話していたのは欧米の方です。遠く離れた欧米の人でも老子を学んでいる一方で、私は日本に住んでいるのに老子をよく知らないことが急に恥ずかしくなり、読み始めました。

 

書名:老子

著者:蜂屋邦夫(岩波文庫

 

老子とは?

まず老子がどういう人かというと、紀元前4世紀頃に中国いた哲学者です。「老子(または老子道徳経)」と呼ばれる著書が有名で、道教の始祖と言われています。西洋で一番読まれている本が聖書、東洋では論語。では東洋で2番めに読まれている本は?というと老子が挙がります。

 

要するに「道徳」という言葉を作った昔の偉い人です。

 

そんな老子が思うもっとも「すごい」人とはどんな人なのでしょうか。「最上の善なるあり方は水のようなものだ」という言葉にあるように、水のような人だそうです。水のようにあらゆるものに恵みを与えながら、誰もが嫌だと思う低い所に落ち着く人がすごいそうです。

 

確かに尊敬できそうな気がします。宮沢賢治のアメニモマケズと同じで「木偶の坊」こそが最もすごい生き方ということですね。でもそういう生き方ってなぜすごいのでしょう。

 

それは影響力があるからだと思います。

 

老子の中では、木偶の坊こそが影響力の強い人(今風に言えばインフルエンサー)であるということを、色んな言葉で表現しています。たとえば、「世の中でもっとも柔らかいものが、世の中でもっとも堅いものを突き動かす。」であったり、「みずから見識ありとはしないから、ものごとがよく見える。みずから正しいとしないから、是非があきらかになる。みずから功を誇らないから功がたもてる。みずから功を誇らないから功がたもてる。」であったりします。

 

老子の教えは逆説的です。しかしそれが世の中の真理なのかもしれません。

 

私はこうした逆説的な考えが好きですし、経験的にも正しいと思います。たとえば、カラオケで高い音を出そうとしてリキんでも高い声は出ないですが、喉周りの力を抜くとかえって高い声が出ます。また、バスケットボールで3Pシュートが届かなくて腕に力が入ってしまうときは、腕の力を抜いて体全体の力の流れをスムーズにした方がかえって遠くにボールを飛ばすことができます。身体的には、力を抜くほうがパフォーマンスがあがるという逆説をとても理解しやすいです。この逆説が、人間関係においてもあるということでしょう。

 

人間関係における老子の逆説的な考えは、デール・カーネギー著の「人を動かす」という自己啓発本に強く通じる所があります。つまり、人に何かをしてほしいなら「叱ったり怒ったり命令したりする」のではなく「ほめて動機付けしてあげる」方が、かえってしてくれるということです。たとえば、子供を育てる場合には「叱るより褒める」ことがより子供が育つということでしょう。

 

今でも使える考え方が2000年以上も昔に確立されていることに驚きました。